キヅタ 【別名】フユヅタ   (ウコギ科)

・日陰地を好む樹木

1.特徴
広く東アジアに分布し、日本でも北海道を除く各地の山野の地上、樹上、岩上などに見られる。
常緑または、落葉で半日陰以下のやや暗い所を好み、茎から発根して他物に着生し、次第に太くなる。
古木では、秋の終わりに小枝の先に多数の黄色の小花を散形につけ、黒熟する実を結ぶ。

◇キヅタの仲間
○ヘデラ
観葉植物として何種類かが西洋キヅタの名で扱われており、特に寒地でなければ地被やフェンスなどに用いることができる。
どちらかというと洋風の庭園向き。

2.用途と配植
地表に這わせて下草、地被にするほか、株仕立てもできる。
また、壁面、岩石、石垣などにつける。

3.手入れのポイント
あまり乾燥しない土地であれば極めて強健に繁茂するので、適宜枝を透かす。
カイガラムシやアブラムシがつくのを防止する。

4.ふやし方
6〜7月頃、前年枝に1〜2枚の葉をつけるか、根の出ているものを切って挿し木を行い、翌春に植える。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

テイカカズラ 【別名】マサキノカズラ   (キョウチクトウ科)

・花を観賞する樹木
・生垣に作れる樹木

1.特徴
本州の秋田県以南の各地の山野の樹陰に自生し、5〜6月頃、葉腋と枝の先端に白色から白黄色に変わる香りのよい5裂の花を穂にまばらにつける。
常緑で茎から気根を出して他の木や岩につき、枝葉は切ると白乳がでる。

2.用途と配植
腐植質に富んだ乾燥しない土質がよく、半日陰地を好み、前年枝の枝に花をつける。四つ目垣や金網柵にからませて生垣状に低く仕立てると花が楽しめる。

3.手入れのポイント
植え付けは春先から秋までできるが、大きい苗は根が粗いので枝を切り詰めて行う。
乾き気味の所であれば腐葉土を混ぜ、同時に元肥として化成肥料か油かすを土に混ぜて施す。主つるを作って誘導し、伸びすぎる枝は2〜3葉残して秋までに剪定を行う。
アブラムシにはマラソン乳剤を散布する。

4.ふやし方
挿し木による。
春から、秋まで随時行える。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

ツリガネカズラ   (ノウセンカズラ科)

・陽地を好む樹木
・花を観賞する樹木

1.特徴
アメリカの東南部に分布し、葉先から発生する巻きひげと枝の吸盤で枝葉を支えながら這い上がり、15mに達する。6〜7月頃、トランペット型で長さが5cm、外側は橙赤色、内側は淡色の花を穂につけて咲かせる。

2.用途と配植
日よけ棚や、壁面緑化用としてまれに使われる。

3.手入れのポイント
暖地向きの種類であるが、東京周辺でも越冬する。
日当りに向くが、夏の高温時期にアカダニが発生するのでなるべく風通しのよい、日陰になるような所がよい。土質は肥よくな軽い土を好む。

4.ふやし方
4月に挿し木を行う。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

サネカズラ 【別名】ビナンカズラ  (モクレン科)

・果実、実を観賞する樹木
・生垣に作れる樹木

1.特徴
関東以西から四国、九州などの山地に自生する。
雌雄異株で、7月から8月の間に淡黄白色の花を葉わきから下向きに開花、雌株には秋に赤い実を小球状にたくさんつける。常緑で葉も若づるも軟質で光沢があり、半日陰地でよく茂る。

2.用途と配植
なるべく日当りで適潤の所を選び、四つ目垣、棚、アーチ、パーゴラ、ポールなどにからませたり、また、地に這わせたりして用いる。

3.手入れのポイント
植え付けは堆肥や腐葉土に元肥を入れて植え、強健に育てる。
放置すると旺盛に伸びて他植を圧倒するので、伸びすぎたつるは強く剪定し、もっぱら木の充実と短枝の発生に努める。雌花と雄花の開花にずれがあると結実しにくいので、近くの雄花の花粉を受粉したり、根をスコップで切ってやるとよい。肥料はリン酸とカリ分を寒肥や開花後、秋に与える。
密生したり、日陰すぎるとカイガラムシが発生しがちなので注意する。

4.ふやし方
挿し木は、新枝で6〜7月に行う。
取り木、株分けもできる。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

クレマチス類   (キンポウゲ科)

・陽地を好む樹木
・花を観賞する樹木

1.特徴
クレマチスの名で呼ばれるものはクレマチス属の植物で、一般に改良された園芸品群を指す。一季咲き、四季咲きに分かれ、花色は紫、青、紅色、白色がある。また、主として一重咲きであるが、弁数の多いもの、輪の大小など様々。
花をつける上部は日当りが必要だが、下部は風通しがよく、根元が日陰で乾かない所がよい。
特に夏期は冷涼な所を好む。
最近は常緑で冬咲きの種類も増えている。

◇クレマチスの仲間
○テッセン
中国からの渡来で、6弁、カザグルマは日本産で8弁、いずれもクレマチス属。

2.用途と配植
和洋いずれの庭にも向き、支柱を立てるか垣根やアーチなどにまといつかせる。

3.手入れのポイント
2〜3月か、10〜11月に有機質に富みセンチュウ(ネマトーダ)などがなく、根元が陰になるような所に大きく穴を掘り、根を広げてやや高植にする。
大鉢であらかじめ長く仕立てた株を用いる。
夏は根元に敷きわらを行い乾燥を防ぐ。肥料はリン酸、カリ分を多めに与える。

4.ふやし方
5〜10月に挿し木、茎伏を行う。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

ツタ 【別名】ナツヅタ/アマズラ(古)  (ブドウ科)

・葉を観賞する樹木

1.特徴
日本と中国原産。
葉は初め3全裂であるが、後に3浅裂し、光沢を帯びるようになり、秋の紅葉は美麗。茎は伸長が速く、巻きひげで他物にからみ、また、巻きひげの先端部の吸盤で他物に吸着する。耐寒性が強く、陽地から半日陰まで生育するが乾燥を嫌う。

2.用途と配植
石積みやコンクリート、ブロックの壁面などに這わせる。

3.手入れのポイント
直接実生するか小苗を1m間隔に植え、高さ1mの時に摘心を行い、以後は必要な方向に枝を残し誘導する。その後は冬期に過密部や傷んだつるの間引き剪定を行い、また伸びすぎた先などを切り詰める。
当初成長を早めたい時は、油かすの腐汁を薄めて与える。

4.ふやし方
実生の取りまきを行う。また、春先に挿し木を行う。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

ツルバラ   (バラ科)

・陽地を好む樹木
・花を観賞する樹木
・生垣に作れる樹木

1.特徴
大別して交配によって作出した系統と、枝変わりからのもの(品種名の前にCIをつけている)がある。品種が多く一季咲き、四季咲き、小輪・中輪・大輪咲き、あるいは房咲きのものがある。英名で一般的にはClimbing Rose(CL,)の名で呼ばれている。

◇ツルバラの仲間
○モッコウバラ
中国南部の原産で、とげがなく、4〜5月に白または黄色八重の花を開く。
○ナニワイバラ
中国中部、南部、台湾原産で、九州、四国の山野に野生し、4〜6月に白または淡紅色の径5〜9cmの花をつける。
いずれも本州中部以南で強健に育ち常緑性で香気が高いことから庭園などで栽培され、モッコウバラはアーチ、ポール、トレリスなど、ナニワイバラは四つ目垣や生垣に利用される。

2.用途と配植
つる性を利用して、スクリーン仕立て(金網柵やトレリスに這わせる)、アーチ仕立てとトンネル仕立て(アーチを連続してトンネル状に這わす)、パーゴラ仕立て(棚作り)ポール仕立て(鉄パイプや丸太に巻く)、ベッド仕立て(0.5〜1m丈の鉄製の棚に誘引する)など、庭の修景をかねて立体的に設置し配植する。

3.手入れのポイント
栽培管理は株立ちのものと変わらないが、設備が伴うものだけに、土地に合った丈夫な品種を選ぶ。
1)植え付け
長さが3〜4m以上に及ぶため、間隔は2m以上確保する
2)誘引と剪定
12月〜1月に結束をはずし、強剪定と誘引のし直しを行う。老化した枝は根元から鋸で切り、残った長い枝の先を30〜50cm、花の咲いた小枝は2〜3芽残して剪定し、再び長枝をなるべく水平に倒して配置よく結びつける。
上部強勢で花が上に集まらないように、下からびっしりと咲かすための作業を行う。
ポール仕立てのものも、立ち枝が重ならないように巻き直す。
7月には古い小枝や生育の止まった枝を間引き剪定し、長く伸びた若い枝は支柱として竹を添える。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

アケビ 【別名】イシアケビ/アケ/アケベ/その他 (アケビ科)

・果実、実を観賞する樹木

1.特徴
本州、九州、四国から朝鮮、中国の山野に自生する。
4月頃、新葉とともに短枝の間から穂を出し、淡紫色の雌花と雄花をつける。
10月頃には、実が6cmの楕円形になり、桃紫色に熟し、やがて縦裂して果肉と種を現す。葉は楕円形の5小葉で、茎は左巻きで巻き上がり、次第に木質化する。日当りを好むが、根元は乾かない所か、半日陰地で有機質を含む所がよく、生育は旺盛で、他の株と人工授粉するとよく結実する。

◇アケビの仲間
○ミツバアケビやその雑交種のゴヨウアケビがある。
別属で常緑のムベ(トキワアケビ)も栽培されている。

2.用途と配植
棚、底門、四つ目垣などに和風の庭で巻かせると風雅。
最低でも、2〜3株を植えておく。

3.手入れのポイント
当初は主つるを作るように下からわき枝を切って立ち上がらせるが、垣根には配置よく分枝を促し、かつ肥培を行う。
肥料はリン酸とカリ分を欠かさず与え、開花したら他の株の花粉をつけて結実を助長する。
根元は乾かさないように注意する。

4.ふやし方
実生、挿し木、取り木による。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

ノウゼンカズラ 【別名】ノウゼン/ノセウ/ノウゼンノカズラ(ノウゼンカズラ科)

・陽地を好む樹木
・花を観賞する樹木

1.特徴
中国原産で羽状複葉。7〜8月頃、枝先に朱黄色の花をつける。日当りを好み丈夫。有機質を含む乾かない土地に適する。花や蕾の汁には毒性がある。

◇ノウゼンカズラの仲間
○アメリカノウゼンカズラ
アメリカ中・南部の原産。花はやや小さいが花弁は厚く、開花が長い。ポール仕立てに良く、強健なので家の屋根を覆うこともある。

2.用途と配植
枯れ木や老木、丸太などにからませたり、あずまやや、パーゴラ、フェンスにも用いる。

3.手入れのポイント
初めは主枝を立てるため、下方の側枝を切って伸ばし、シュロ縄で結束する。剪定は落葉後、各枝先の充実した芽の位置で切り、そのほかの余分な枝を整理する。翌年その芽が伸びて枝になり、その先に花芽がつく。
花つきは古木ほどよい。
肥料は寒肥として堆肥や化成肥料を与える。

4.ふやし方
3月上旬・中旬に前年枝、6〜7月に当年枝を挿し木する。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

フジ 【別名】ノダフジ   (マメ科)

・陽地を好む樹木
・花を観賞する樹木

1.本州以南の山地に自生し、つるは右巻きで他物に巻き付き長く伸びる。
4〜6月に房状に紫花をつける。系統にはシロバナフジ、ヤエフジ、アカバナフジ、一才フジなどがある。また、ヤマフジは本州中部以西に自生し、つるは左巻きで、シラフジ、白カピタン、紫カピタンなどがあり、他に九尺フジの系統もある。水質に富む肥よくな地で日当りのよい所で花つきがよくなる。

2.用途と配植
和風の場合、藤棚。洋式ではパーゴラや建物の壁面に斜めに棚をかける。また、株仕立てなども行われる。

3.手入れのポイント

植え付けにあたっては、長い根を切らないように掘り下げ、根を巻いて植える。
棚作りでは、棚の面積を考えてある程度大きいものを柱につけて這い登らせるようにし、株仕立ての場合は側枝の何本かを残し、次々と出るようにする。
開花後、伸びるつるは先端の方で切り、落葉後密生枝や弱小枝を取る整枝を行う。

4.ふやし方
挿し木は3月か5〜8月に前年枝を使い、接ぎ木はヤマフジを台木にして3月中・下旬に切り接ぎする。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

スイカズラ 【別名】ニンドウ/金銀花   (スイカズラ科)

・陽地を好む樹木
・花を観賞する樹木
・生垣に作れる樹木

1.特徴
北海道南部以南の各地の山野に自生。
地に這ったり、右巻きで他の木につき、長いものは10mに伸びる。
5〜7月頃、葉腋から、初め白く後に黄へんする芳香のある唇型の花を2花ずつ並べて咲かせる。欧米では多く庭園樹として使われ、いくつかの園芸品種もある。

◇スイカズラの仲間
○ツキヌキニンドウ
アメリカの原産で、葉は卵形で白色を帯び、上方の葉は二枚が合着するのでこの名がある。6〜8月頃、枝の頂部に橙黄色に紅色を帯びた花を3〜4輪ずつ開く。フェンスに絡ませたり支柱を与えて立ち上がらせると夏のよい花ものになる。

2.用途と配植
日当りと排水の良いフェンスや四つ目垣に這わせる。

3.手入れのポイント
元来強健なものなので、特にポイントはないが、寒肥に油かすか化成肥料、土質によっては堆肥を与えると生育開花がよくなる。

4.ふやし方
挿し木、取り木、株分けによる。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

イカダカズラ【別名】ココノエカズラ/ブーゲンビレア (オシロイバナ科)

・陽地を好む樹木
・花を観賞する樹木
・生垣に作れる樹木

1.特徴
南アメリカの原産。熱帯、亜熱帯の各地の庭で盛んに植えられ、気温が18℃以上であれば年中花を見ることができる。
つるには鈎がつき10mになる。3枚の紫紅色の苞(ほう)を持つ花を頂生または腋生して開く。多くの仲間があり、白、桃、赤色などのほか、八重咲き、大輪系もある。強い陽光により鮮明な色を出し、また乾燥気味に育てると着花がよくなる。
萌芽力も強く、刈り込みに耐える。

2.用途と配植
最低6℃あれば越冬が可能。アーチ、日陰棚、門冠り、壁面の他、刈り込んで株仕立てもでき、生垣にもされる。

3.手入れのポイント
6〜7月に挿し木または取り木によりふやすが、品種ものは接ぎ木も行われる。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

ツルウメモドキ 【別名】ツルモドキ   (ニシキギ科)

・陽地を好む樹木
・果実、実を観賞する樹木
・生垣に作れる樹木

1.特徴
日本各地の低山や原野に自生。
円状楕円形の葉をつけ、茎を左に巻き他物にまといついて伸びる。
5〜6月頃、雌花と雄花を別の株につけ、秋に熟した実が割れ、赤黄色の種子が中からのぞき可憐。陽地を好んでよく生育し、茎の径が20cmに至るものもあるが、一般的には小さな株状のもの。
種子の仮種皮が黄色のものもある。

2.用途と配植
あらかじめ雌株を入手し、雄株と共に日のよく当たる四つ目垣やトレリスに添わせて絡ませる。

3.手入れのポイント
秋、実のある頃か春先に堆肥か腐葉土を入れ、なるべく大株を植える。根元の乾燥に注意し、アブラムシがついたらマラソン乳剤を散布する。
花芽は前年生の短枝につくので秋までは間引き剪定のみに止める。肥料は寒肥と花後、秋の三回程度、化成肥料を与える。

4.ふやし方
根伏、実生、取り木、接ぎ木などが可能。
雌株を得るには実生以外の方法による。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月