トウジュロ   (ヤシ科)

・陽地を好む樹木
・樹姿を観賞する樹木

1.特徴
中国原産。
幹は枝がなく直立し、暗褐色の繊維で包まれている。葉は扇状に深く裂け、葉枝が短くピンと立つ。よく似たものに九州南部原産のワジュロがあるが、ワジュロは葉先が折れて垂れ下がり大型。このほかに、地中海原産のチャボトウジュロがあり、低木として使う。
場所、土質を選ばずによく生育するが、成長は遅く、湿地は好まない。

2.用途と配植
洋風庭園向きで公共建築の車廻しなどに向く。枝が出ないので高低取り混ぜて数本を寄せ植えするのが一般的。高さは3〜5m、裾回りが寂しいのでサツキ、オオムラサキ、アベリア、ドウダンツツジ、トベラ、イヌツゲなどの玉物をありらうとどっしりとした重量感が出る。
ワジュロは植え込みに混植する。

3.手入れのポイント
植え付けは5〜7月頃が適期。冬や真夏は避ける。
日当りのよい粘質土の場所に、やや高植にする。植え付け当初は風などで倒れやすいので竹支柱などで倒伏を防ぐ。
剪定・整姿は、古い枝が垂れ下がり枯れてくるので、春先に切り取る。
幹を包む繊維は放置すると見苦しいのでシュロ縄で下から上に巻き上げておく。
枝が出ないので、剪定で丈を低くすることはできない。
シュロは成長が遅いので、有機肥料を3月頃に根元に施す。繁殖は実生によるが、成長が遅いので、初めから希望の大きさのものを購入して植え付ける方がよい。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

カナリーヤシ   (ヤシ科)

・陽地を好む樹木
・暖地に適する樹木
・樹姿を観賞する樹木

1.特徴ほか
カナリー諸島原産、雌雄異株、葉は長尺で茎の頂部に群がってつき、四方に大きく弓なりにわん曲する。
関東地方の南部以西で使えるもので、高さは7〜8m。
日当りのよい場所を好み、冬期は防寒が必要。
公共建築の芝庭や、玄関の前庭に独立植えするのがよい。葉がよく茂ので裾回りに配植の必要はない。
植え込みに、アメリカデイゴ、キョウチクトウ、ホルトノキ、ヤマモモなどがよく似合う。
手入れは、トウジュロに準じて行う。

ワシントンヤシ   (ヤシ科)

・陽地を好む樹木
・暖地に適する樹木
・樹姿を観賞する樹木

1.特徴ほか
南カルフォルニア、メキシコ原産。高さは10〜15m。
幹は円柱状で枝分かれせずまっすぐに立ち上がり、葉は頂上に群がってつき、雄大。
日当りのよい場所で年間平均気温16℃以上ならば露地で越冬し、冬期防寒すれば東京でも育つ。
公共建築の芝庭や、遊園地などの広い場所に適する。
枯れ葉がいつまでも残るので、切り上げてゆく程度の手入れで充分。
あまり枯れ葉の残らないオキナヤシモドキもある。

バショウ   (バショウ科)

・暖地に適する樹木
・葉を観賞する樹木

1.特徴ほか
中国原産の大型の宿根草で、本州中部以南で庭園に植えられる。
根茎から茎が出てバナナに似た葉を広げ、実も小型のバナナ状。
茎は柔らかく、葉も風で傷みやすいので台風時には保護が必要。古い茎は基部から伐採しておくと新しい茎が出てくる。
洋風の庭園向きの木。

ニオイシュロラン   (リュウゼツラン科)

・陽地を好む樹木
・暖地に適する樹木
・樹姿を観賞する樹木

1.特徴
一般にドラセラと呼ばれるのもで、ニージーランド原産。
幹は直立し、上部で多少枝分かれする。剣状の長い葉が枝先に群がってつき、先端は垂れ下がる。5〜6月に白色花を咲かせ芳香があるのでニオイシュロランと呼ばれる。
本州中南部、四国、九州、沖縄で使われる。
日当りのよい場所であれば土質は選ばない。乾燥や潮風に強く、大気汚染にも強いので、公共用樹としてもよく使われる。
寒さには弱い。

2.用途と配植
洋風庭園や公共建築の車寄せに向く。
トウジュロと同様に、アベリア、サツキ、イヌツゲ、ドウダンツツジなどを添えると洋風の感じがよく出る。

3.手入れのポイント
植え付けや移植は5〜6月に行うが、直根を切らないように注意する。
剪定・整姿は、古葉や花穂を切ってさっぱりさせる程度。
地際から沢山の芽を出すので切り取る、また古い幹や高く伸びすぎたものは基部または途中から切って更新する。
繁殖は実生または、挿し木による。

ソテツ   (ソテツ科)

・陽地を好む樹木
・暖地に適する樹木
・樹姿を観賞する樹木

1.特徴
九州南部と沖縄にかけて自生する。
本州中部以西の暖地以外では冬期霜除が必要で、陽地で乾燥する場所を好む。
土質は選ばないが、低湿地では土を盛って根つきのものを植える。
公園、庭先、寺院などで車寄せや芝生内に寄せ植えする。

2.手入れのポイント
植え付けは6〜8月頃、赤土を客土して高植にし、追肥に油かすや魚かすを与える。寒地では秋末にわらを木全体に巻いて防寒する。
古葉の整理は新芽の出る時に行う。
繁殖は地中から生じる子株による。子株は当初は砂質壌土で培養し、根を多くしてから植え付ける。

キミガヨラン   (リュウゼツラン科)

・葉を観賞する樹木
・樹姿を観賞する樹木

1.特徴
北アメリカの原産。樹高1〜3m、長い剣状の葉を叢生し、先端は垂れている。
5〜6月と11月に花穂を立てて白いつぼ状の花を多数つける。
乾燥と寒さに耐え、土質も選ばず強健。
公園、庭園に寄せ植えや建物沿いなどに列植する。
仲間にアツバキミガヨランがあり、性状・手入れともキミガヨランと同様であるが、葉が剛直なため先端のとげが危険であり、切り除く。

2.手入れのポイント
寄せ植えの場合は丈が伸びたら支柱を立て、極寒値や多雪地ではわら巻きと支柱を補強し、繁茂した場合は春に切り詰め、間引きする。
繁殖は、春に株分け、挿し木、根分けを行う。

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月